足し算に躓いたある子どもの話

最初に
この話は、足し算に躓いたある子どもの話ですが、
【算数障害の話ではありません】
というか、発達障害関係ありません。

十年以上前の話ですが、知人夫婦から「うちの子が足し算が出来ないで困っている」と相談を受け、何故か家に行って教えることになったことがありました。

理由は私が、高校時代数学が得意だったから

正直、無茶言うな!って話ですが、凄い勢いで頼まれて、勢いに飲まれて了承したんですが、

当日、家に行くと知人夫婦は子どもに私を紹介し早々に買い物に出かけました。

知人夫婦にしてみると「親がいると萎縮して聞きたいことも聞けないかも知れない」という気遣いからだったらしいんですが…

いやまて、俺子どもの相手すんの苦手なんですけど?

って、話なんですが、その子(仮にAちゃんとします)に目を向けると、警戒心剥き出しで、こちらを見ていて

どんな前情報入れたんだあのバカ親ども

と強く思ったのを思い出します。

警戒心と敵意を真正面から受け止めながら、とりあえず聞いてみました(俺頑張った!)

私   「足し算がわからないの?」

Aちゃん「わかんない!」(すでに癇癪起こす寸前のような様子)

私   「1+1は、わかる?」

Aちゃん「1+1は、1か2!」(怒りすぎて目に涙が溜まりそうになってる)

(飴の袋を取り出す私、一瞬、飴を欲しそうにするAちゃん。飴を一個づつ取り出しながら)

私   「ここに飴が一個あります。もう一つ飴を取り出すと何個になる?」

Aちゃん「違うのそうじゃないの!」(ついに涙流し始める)

(一瞬、怯む私)

私   「違うの?そうか、おじちゃん間違っちゃったか。Aちゃん、おじちゃんが何を間違えてるのか教えてくれる?おねがい」

(しばらく考え込むAちゃん)

Aちゃん「あめだまだと2個になるけど、粘土と粘土だったら1個になる…」(急に弱気になる)

私   「そうかだからAちゃんは、足し算がわからないって言ってたんだね」

(驚いたような表情を見せるAちゃん)

私   「1+1=2だけど、今Aちゃんが言ったように粘土だと、たしかに一つになっちゃうよね?」

Aちゃん「うん」(少し話に興味を持ってくれた様子)

私   「でも、1+1の答えは2なんだ。昔偉い人がそう決めたから」

Aちゃん「なんで?」

私   「理由はね…誰もわからないんだ。おじちゃんもわからないし、Aちゃんのお友達もわからない、パパもママも先生だって理由はわからないんだよ。でも皆『知ってるフリ』をしているだけなんだ」

Aちゃん「皆わからないの?」(不思議そうに)

私   「うん。1+1の答えは2っていう決まりを守っているだけで、理由なんて誰もわからないんだよ」

Aちゃん「本当に?」(わずかに泣き始める)

私   「本当だよ。誰もわからないこと何だよ」

Aちゃん「私が馬鹿だからじゃないの?」(本格的に泣き出す)

私   「馬鹿なんかじゃないよ。むしろ逆だよ…Aちゃんは他の誰よりも頭が良いんだよ。だから1+1が2以外にもなるって気づけて疑問に思ったんだよ。」

最後の話をして居る途中から大泣きをしはじめたので、軽く抱きしめて頭を撫でながら、そう語りかけたのですが…

Aちゃんは、決して足し算がわからなかった訳ではなく、納得出来なかっただけなんです。

Aちゃんが泣きながら訴えてきたのは「誰も話を聞いてくれなかった」「自分が馬鹿だからいけないんだと思った」「自分はいらない子なんだと思った」というような、そんな話だと思います。何しろ大泣きしながらなので、正直、何を言われているのかよく分からなかった(笑)

知人夫婦には悪いですが、この時は本当に

両親や教師は何をやってんだ!?

と強い怒りを感じていました。

この子はこの小さな体でどんなに大きな孤独と苦痛を一人で背負っていたのか…
なぜ誰も真正面から話を聞いてやらなかったのか…Aちゃんの涙やヨダレでびしょ濡れになっていくシャツをどうするのか…怒りしかありませんでした。

その後、知人夫婦が帰ってくる頃には泣きつかれてAちゃんは寝ていました。

友人夫婦には「もうたぶん大丈夫だと思うよ」と伝えて帰宅。

その夜、知人夫婦から電話があり「Aちゃんが算数のドリルを嬉々としてやって予習までし始めた一体全体どうやったのか?」と聞かれ

「ちゃんと話を聞いただけだ、お前らは何をやっていたんだ!」

と大説教大会をしたのですが・・・

今考えると、子育ての経験もない私が偉そうに説教したことを軽く反省しています

あと、親の立場からは「先生もわからないんだよ」なんて良いにくいよなーと思いますし

実はこの話、私は最近まで忘れてました。

思い出したのはAちゃんが某大学の理学部数学科に進学が決まったので、お礼が言いたいと言っていると知人夫婦から連絡を貰ったこと



最初に書きましたが、Aちゃんは別に算数障害や他の発達障害を持っていた訳ではありません。いわゆる定型発達の子です。

定型発達の子ですら、こんな些細なことで学校の勉強というのは躓きを覚えてしまうことがあるんです。

私は子育ての経験も教育に携わった経験もありません。
そんな私が、こんなことをいうのは僭越ではありますが

どうか子どもの話を聞いてあげて下さい。「屁理屈をいっている」と頭から決めつけず「本心から言っているのでは?」と一度、確認をしてみてください。

どうか、お願いいたします。


追記:この記事はAちゃん並びにAちゃんの両親に読んでもらった上で公開しております。

追記2:普段以上に読みづらい文章でスンマセン

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