以下の内容はネタバレを含みます。
あと昔から読書感想文とか何かの感想をいう書くっていうのが大の苦手な人間なんで、いつも以上に文章に自信がありませんが、思い切って公開してみようと思います。
この本を取った理由
タイトルの「LDは僕のID」という言葉が、なんとなく自分のLDに対する受け止めと近い感じがしたからです。
LDでよかったと思うことはあまりありませんが、それでもLDは自分の一部で、LDを含んで「自分自身」が形成されている。
というのが、とても端的にタイトルに込められているなという関心から本kindle版を買いました。
本の概略
南雲明彦さんという読字障害当事者でLDに関する啓発活動をしている方が、「介護・福祉の応援サイト けあサポ」に連載したブログを大幅に加筆修正したもののようです。
読んだ感想
本文に入る前「はじめに」の最後のほうの一文で早くも震えました。
そこには、こう書かれていました。
悩んできた過去は決して無駄ではなかったと思いますが、子どもたちに僕と同じようには苦しんでほしくないと強く思っています。僕のような「生きづらさ」をもつ子どもたちが見る風景が希望の光に満ちあふれた時、きっと、自分の人生を肯定できる子供たちが増えてくると思います。
LDは僕のID ―字が読めないことで見えてくる風景/南雲明彦著 はじめに より
自分の思いがそのまま書かれているような文章で本当に震えました。こういう想いで啓発活動もされている。やはり自分と同じような考えを持った当事者の方は当然いるよなーとマザマザと実感しました。いい意味でですよもちろん。
肝心な本文の感想
幼少期のエピソードなど読んでいて思うのは、地頭は本当に良い人なんだろうなぁーということです。それだからこそ、自分が文字を読めない。書けないことへのストレスは非常に大きかったんだと思います。でも、子どもながらにその苦手をカバーするために試行錯誤する姿勢に感服します。
ただ、だからこそ余計に周囲についていけなくなって行くことが、さらにストレスになるという悪循環に陥ってしまった。
そして二次障害を患い、苦しんでいるなか幸運な出会いによって立ち直っていく。そして自分が読字障害だと知り啓発活動を始められるようになる。その過程やその後で思ったことを素直な気持ちが書かれている。そんなお話です。
読字障害のせいで二次障害になり、その影響で高校を転校や中退してもなおチャレンジし続け4校目で高校卒業という話だけでも、この方のチャレンジ精神の強さが伺えます。
そして自分から発達障害関連団体に電話をかけ
「僕の体験談が少しでもお役に立てればと思うので、お話させてください」
LDは僕のID ―字が読めないことで見えてくる風景/南雲明彦著 本文より
という行動力。
プロフィールに強みとして行動力を上げながら、やっていることがブログ書くだけって自分が少し恥ずかしくなりました。
本文の中で、実名で啓発活動を行うことの有用性もとかれていて、納得せざる得ない内容でした。私も今は実名は伏せてブログを書いていますが、将来的には実名を出すことも検討しようと思います。
その他にも
- 障害とはなにか?
- 障害をオープンにすることクローズすることの意味
- 種別の違う障害者同士の関わり方
- 休息の必要性
- 等など
ページ数を考えると信じられないほど広く濃厚な一冊だと思います。
実は上で「等など」で纏めている部分こそ、他の人に読んでもらいたい内容だったりしますが、それは読んでのお楽しみということで。
この本を読んでもらいたい読者層
LD当事者や「自分はLDかも」と悩んでいる方が読めば当然思うところもあるでしょうし、当事者の目線から、どんな支援者を望んでいるかも間接的に読み取れるので支援者の方にも読んでもらいたい。LDに限らず障害種別を問わず、自分自身の障害の捉え方の一助にもなるでしょうし、LDを知らない人にもLDとは何か?ということを分かりやすく理解してもらえる一冊になっていると思います。