前置きとして、 この記事は
自分の子供の算数の苦手解決策をお探しの親御さんへ向けた記事です。
間違っても「こうやれば算数障害は克服出来ます!」という話ではありません。
「未だに九九が覚えられない」私の体験が算数が苦手なお子さんの助けになればと書いたものです。
結論:全ての子どもに自己肯定感を!
前回予告した通り、今回は私が数学を克服した経緯を書きたいと思います。
経緯と言ってもプロフィールに書いた通り中学時代の記憶は曖昧なものなんで、少ししか書けませんが、その経験が少しでも算数が苦手なお子さんの助けになればと思い思い出せる範囲で書きたいと思います。
中学に入学した当初の私の状況はと言うと、全科目で落ちこぼれていました。体育も苦手で、休み時間も隅の方で大人しくしているタイプ。というか自分の全てに自信がなく、いつもオドオドした子でした。
そんな時、出会ったのが数学の恩師でした。
数学の教科担任でした。
何がキッカケだったのか記憶が定かではありませんが、一学期の最初の頃、私だけ居残りさせられて、数学(算数)の知識がどの程度あるのか、色々問題を出されて試されました。
結果
九九の表を教科書の最初のページに貼られた
そして次の日から、ほぼ毎日数学の居残りです。
(その先生は上級生の担任もしていた気がするのに私の為に貴重な放課後の時間を割いていただいたこと、今思うと本当に感謝しかありません)
居残りで小学校の算数の復習をしていた期間、数学の授業に付いていくことは、できませんでしたが、それでも九九の表を見ながらの方が、少しは授業の内容が理解できるだろうという先生の気づかいだったんだと思います。
居残りで何をしたかというと、最初に九九の仕組みを教えてもらいました。
3 × 2 なら 0 に 3 を 2 回足したもの
というような基本からです。
なんで「3 を 2 個足したもの」じゃないの?
と思われる方もいるかも知れませんが、「3 を 2 個足したもの」と聞くと私の受け止めとして「3 + 3 + 3」っていう認識になってしまうんです。自分でも不思議な話、今でも一瞬そう思ってしまいます。
そこで先生が教えてくれたのは
数字は0が基準
という話で、上の「0 に 3 を 2 回足したもの」という考え方になります。
あと、カラーマグネットを使って九九の勉強をし直したのも覚えているので、ひょっとしたら足し算の段階から危うかったのかもしれません。
そして、九九の問題を繰り返すうちに一つの法則に気づきました(そのように誘導されたんでしょうが)
掛け算は掛ける数と掛けられる数が逆になっても答えは一緒
それくらい、小学校で習うだろって話ですが、驚くべきことに私は中1の時点でそれを理解していませんでした。
そのことを先生に報告したら「おーよく気づいたなー数学には、そういう不思議なことが一杯あるんだ。それに自分で気づけるなんてセンスあるんじゃないか?」
的なことを言って壮大に褒めてくれました。その他にも少しでも理解が進んだら盛大に褒めてくれました。
ちなみに、掛ける数と掛けられる数が逆になっても答えが同じということに気づいた日、先生に盛大に褒められてルンルン気分で家に帰って親に自信満々でそのことを報告したら「何を当然なことを」という感じの呆れ果てた目で見返されたのを覚えています。
九九の仕組みを理解したら割り算を教えてもらいました。
例えば、4 ÷ 2 という 0 に 2 を何回足したら 4 になるか。という考え方で教わったと思います。
その時もカラーマグネット大活躍です。
割り算が終わると分数です。
先生お手製の教材で視覚的に教えてくれました。
多分、分数を理解したあたりで言われた言葉が
「数学の全ての問題は、分解すれば四則演算。極論、足し算と引き算さえ計算できれば問題ない」
という話です。
そこから、新しく教わる(復習する?)数式を一度、四則演算まで分解して説いていく訓練をひたすらやりました。
夏休みも冬休みも呼び出されて教わりました。
結果、中1の終わりには、人並みに数学が出来るようになりました。
いつの段階で言われたのか、何のタイミングで言われたのかは、覚えていませんが、先生に言われた言葉で一つ凄く心に残った言葉があります
「数式を文字や記号だと思うんじゃない。いいか?数式は空間でイメージすればいいんだ」
皆さんは、この言葉の意味を理解できますか?
当時の私は理解できませんでしたし、今でも分かりません。でも何故か、この言葉を聞いて以降、数学への理解が急速に進んだ感覚という曖昧なものだけが自分の中に残っています。
この記事を書いた理由
まとめると、この話は、初めて私が自己肯定感を獲得した話です。
中学に上がった時、自分に何の自信もない何でこの世に生まれてきたかわからない。実際に小6の頃に自殺を試みたこともあります。
そんな私が中1で恩師に出会い、恩師の一年間の努力のお陰で、初めて自分の強みとなることを身に着けた。正確にいうと「人よりできる」ではなく「人並みにできる」程度のことだったのですが、それでも「全てが人より劣っている」と思っていた自分に初めて「人並みに出来る」ことが出来たということが、どれだけ嬉しかったか、貴重な体験だったか、いくら言葉を重ねても表現しきれません。
現在の私を称して「向上心が強い」や「常に何かに挑戦している」という人がいますが、そうだとしたら、それは全てこの数学の成功体験が原体験になっているからです。
私の場合、数学という学業で唯一の強みを見出すことができただけで、学業じゃなくても良いと思います。
ゲームが上手かったり、アニメに詳しかったり、その他、趣味に対して凄い記憶力を発揮したり、何か一つ。たった一つで良いから、これからの子どもたちには自分の強み。自己肯定感を獲得出来る。これからは、そんな世の中であって貰いたいと心から願っています。
結論:全ての子どもに自己肯定感を!
蛇足1
中学高校の数学を全て四則演算もっというと足し算引き算まで分解して計算することを続けた結果、社会に出たときには、数字を前にするとその数字を分解、かっこいい言い方をすると分析する癖がついていたのが数字に強い自分が出来上がった理由かなと思います。だから私の場合、恩師と出会うという幸運に恵まれた結果的に九九が出来なかったことがプラスに働いたんだと今は思っています。
蛇足2
今回書いた恩師の他にも「この人に出会わなければ今の自分はなかった」と感じている多くの出会いに恵まれた結果、今の自分があります。だから、その人達への恩返しの代わりに全ての人達が自己肯定感を抱きながら生きていける社会づくりに微力でも携われたらと思っています。